読書会『そして、バトンは渡された』
令和3年1月24日、早く普通の読書会ができるようになりますようにと願いながら、オンラインリモートにて、2019年本屋大賞『そして、バトンは渡された』を課題本に読書会を開催しました。
いつもより少なめの5人でしたが、2時間半ほとんど余ることなく語り合いました。
まずは大まかな感想から…
- 不幸なイメージの境遇と裏腹で優しさにあふれていたのが意外だった。
- あんな人たちに育てられたからあんな子になったのかなと思い、人と人とのめぐりあわせは大事だなと思った。
- 優子視点の割合が多かったが、その視点を通して親たちの姿を描いているようだった。
- 優しい人たちが集まっていて、現実ならいいがそんないい話はあまり聞いたことがなく、ファンタスティックだと思った。
- 「こうあるべき」から抜け出していくおもしろさがあった。
- 優子みたいな視野を持ちたい。
- 読みやすかったが感情が沸き立つシーンはなかった。物足りなさを感じた。
- 素直じゃない森宮さんが好きになれなかったが、最後に柔らかくなって好きになれた。
- 優子大人びている。
- 少しずつ成長していく姿がおもしろい。
- たくさんの大人に愛される環境は、小さいころにタイムスリップしたような感覚。
- それぞれに過去の話があったらおもしろかった。
- アマゾンレビューに酷評が多く、理由を考えてみた。ライトな文体、きれいにまとめられてる感、話が軽い、キャラが軽いなど。
- 一人ぐらい意地悪な親が出てきてもよさそう。
- 森宮さん東大卒設定の必要性は?割には知的でないような。
- カレーってどう作ったっておいしくできるは違う。
- 某チェーン店のハンバーグはおいしくない。
といった感じで面白い話がたくさん出てきました(^^;)
さらに深めていきました…
- 森宮さんが料理を作るタイプでよかった。近くで料理を作る暖かさを優子は森宮さんから教えてもらった。
- 優子はとてもラッキーな境遇であり現実は甘くない。
- 感情の高ぶるようなシーンがあるような気配がありながらなかった。
- 無神経なことを言ういじめのシーンはサラッとスルーされた。
- 逆にいじめのシーンはリアルだと感じた。いじめってこういう風に始まるんだなと。
- 人がぶつかり合って何か始まると思うけど、優子はものすごく大人。
- 友達を重要視していない。ほしいもの、大事なものは自分の中で選択している。
- 最初、親より友達を選んだことを引きずっているのかもしれない。
- バトンという言い方はどうなのか、優子は物じゃない。
- それぞれの親がそれぞれのバトンを優子に渡している。すばらしい。
- 自身の体験から、ありえない話でもない。
- 森宮さんが優子に傲慢だというシーンがよかった。よく見ている。
- 人と衝突しようとしない。自分の中で完結させている。
- 手紙に関しては梨花さんはひどいよねーやっぱり。
- 大家さんがいい人で助かった。親以外の大人にも恵まれていた。
- 高校の先生があんなに生徒みんなのことを解ってくれているってあるだろうか?
- 「まさか。最後だからじゃないよ。…」のシーンにじーんときた。
- ある意味偏見をぶっ飛ばしていくストーリーだ。
この本は、血のつながらない親子の愛情の物語。
大人みんなで子供一人一人を育てていくのが本来の姿。
古き良き時代にはあった、そういった大人と子供の関係がなくなってしまい、様々な問題を抱えてしまっている現代の社会に向けて、問題提起されているようにも感じ取れました。
親子関係だけではなく、たくさん登場した様々な食べ物や飲み物。ピアノで奏でられる音楽。友達との関係や恋愛。などなど、様々な要素が含まれていて、そういったところに暖かさを感じる作品でもありました。
読書会で語り合った結果、これは、ファンタジーであるという意見にみんなが納得といった感じでした。やはり現実では考えにくい話だからです。
が、最後に、これは私たちがこうだろうと思うことを裏切っていて、偏見をぶっ飛ばしているという意見が出ました。
これはとてもいいこと言ってるなーと思いました。
すべてを知っているわけではない私たちは、頭でイメージしてこれが現実だろうと思い込むわけですが、知らないだけで、ファンタスティックに思えるだけで、それは現実に起こり得ることなのかもしれない。
著者は、悪いイメージが蔓延している世の中にいいイメージを抱かせようとしたのかもしれない。
実際に暗い出来事が起きているだろうけれども、それは暗いイメージが先行しているがために起きているのかもしれない。
明るいイメージを世の中に広げるためにあえて常識のようなものを覆したストーリーにしたのかもしれない。
などということを考えてみました。✨
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