ラノベ古事記 読書会
今度の読み人倶楽部は、古事記にチャレンジ!といっても『ラノベ古事記』。
日本の神様がラノベ風になってキャラ萌えしながら読める新訳「古事記」を読んで、読書会を開催しました。
開催前に著者の小野寺優さんに読書会のリツイートをしてもらえて、大感激でした✨
まずはみなさんに推しの神様について聴いてみましたよ。
スサノオ
理由→ピュア、一途なところ。単純なタイプが好きだから。
オオクニヌシ
理由→女で釣る。どんな神様だよ。人間臭さ丸出し。
カムムスビ
理由→オオクニヌシを復活させる。手伝ってくれる。強かった。
オモイカネ
理由→アマテラス手伝ってくれる。下界でも最強、ボス的。強かった。
アマテラス
理由→スサノオがやってきたときに自分の国を守るため完全武装したかっこいい女神様。
ちなみにアマテラス推しなのは私。そして、天孫降臨の章でニニギを見送ったときの言葉は感動的でうるうるでした。ここ、わかってくれる人いるかなー。
「……私……私っ、みんなの幸せを祈ってるからね!!あなたも、あなたの子供も、孫も、子孫も、これから作り上げる国も、そこに住む人たちも……みんなみんなが幸せでありますようにって、ずっと、ずっとぉ……!!」
ラノベ古事記 342ページ
そしてそしてあとで調べたところ、この言葉は原文にはなく、小野寺優さんの思いが込められているんだと!小野寺優さん素敵だなーと!!
おもしろおかしく描かれていて楽しく読めるラノベ古事記ですが、こうやって感動的な描写もあって、笑って泣けて最高っす。(ちょっと興奮してしまい失礼しました。)
それから、それぞれの感想を聴いていったのでした。
- イザナミの死が悲しかった。
- 排泄物を食べたりしたところが笑えた。
- ツクヨミが空気すぎる。
- イザナギとかスサノオとか引っ込んでしまったら出てこない。このままフェイドアウトでいいのか?
- GHQから軍国主義だと言われ、70年間古事記が読まれなくなった…。感慨深い。
- 一神教と比べ多神教は争いが少なく平和的。
- 日本の国威を高揚させるため、国外へアピールするため、神話は必要だった。
- ギリシャ神話と類似点が多く、日本が模倣した説も。
- 305ページ「海外から攻められたら一発で滅びる」は大事なところ。
- ヨモツヒラサカは聖闘士星矢でヤマタノオロチはドラゴンクエストで、などなど聞いたことのある名称が。
- ライトな文体は得意ではないが、話の流れはちゃんとつかんでいてよかった。
- オオクニヌシおもしろい。宝のこと知ってたり。
それからいろいろな話題へ
「オオクニヌシは生き返るのになぜイザナミは死んでしまったのか。」
古事記には一見矛盾するような納得のいかない展開があります。
古事記とは目に見えないもの・ことを比喩を使って表現しているものなので、描かれている展開が何を意味しているのかということを心の目で読み解く必要があります。
例えば、イザナミの死をもって「死」というもののことについて語られているのに対し、オオクニヌシの死と復活は、少年が成長していくことについて語られていたりします。
「日本の漫画では必殺技を叫ぶといった独特なものがあるけれど、古来より言霊というものが大切にされていたのだろうか」
古事記は稗田阿礼の読誦を音だけで表記したものなので、漢字の意味はなく、音が大事になっています。
例えばイザナギとイザナミは「いざないあう」という意味があったり。
最初に生まれた5人の別天つ神の一人、ウマシアシカビヒコの「ウマシ」には「美しい」「麗しい」「喜ばしい」という意味があり、私たちの世界観や生命感を定める神であったようです。
イザナギとイザナミの結婚式では、声をかける順番を間違えたことについて、男尊女卑なのか?女性側に選ぶ権利があるともとれる。
スサノオは問題児だが、母性本能をくすぐられる。
天岩屋戸ではアマテラスが鬱状態に。鬱からの回復は大勢の人の協力と自身が一歩踏み出す力が必要だった。
ヤマタノオロチの話があっさりしすぎていたということで解説。
ヤマタノオロチは河の氾濫を意味しています。スサノオは灌漑技術を使い田を守ったといこと。ちなみに一人を残しヤマタノオロチに食べられてしまった8人の娘は稲の田植えに欠かせない八乙女を意味しています。(八乙女とは八人の巫女のこと。)
また、ヤマタノオロチの「オロチ」は愚かな知恵という意味もあり、スサノオ自身の慢心や欲望との戦いだったとも言えます。
古事記を読むと日本人の敏感な感受性が読み取れます。狭い国土の中、稲作という環境で察しあうという特性が育まれ、それが敏感な感受性を生んでいるようです。外国から見ると日本人は自己主張が少ないと言われがちですが、それはそうですよと言えばよいのではないか。
私たち日本人にはどういった性質や傾向があるのか、失敗や過ちを克服して成長していくための教訓、神様の祝福を受けて生まれてきたという誇り、そういったものを古事記から受け取ることができます。
それは、現代の日本人にとって必要なものであり、しかも最も欠けてはいけないものであると思うのです。その欠けているものを取り戻さない限り、いじめは減らず、毎月千数百人の方が自殺で亡くなり、他国に強く言うこともできない状況がいつまでも続いてしまうのではないでしょうか。
一刻も早くフルコトフミが教育や社会に溶け込んで多くの人に読まれ、その深いところまで読み解いてほしいと願っています。
そして、ラノベ古事記は多くの人たち(特に若い世代)に届く力を持っていると思うのです。だってこんなに楽しく読めてしまえるのだから。著者オリジナルの序と跋。そしてイラストとあとがきも素敵で、神様のことが数倍愛しく感じることができると思います。
ラノベ古事記…最高でした。👍
コメントを残す