読書会で憲法を語り深める
令和2年5月5日、初めてのオンライン読書会で不安な部分もありましたが、大きな問題もなく思っていたよりもスムーズにできました。家でできるというのは移動しなくてもいいし結構楽かも。
課題本は『増量 日本国憲法を口語訳してみたら』でした。
ここからは、読書会で話題になった話も交えながら、司会ということもあり読書会ではあまり言えなかった個人的な思いや考えを述べてみたいと思います。
思い込みについて
この本に載っている5つのコラムの最後に生活保護の話があり、そこでは「イメージが実際とは違っていることがある」という話題になりました。
生活保護には不正受給など悪いイメージがある。けれど、よく調べてみればそんなに単純ことではなく、不正受給にも様々なケースがあったり、本来もらえる人がもらえていなかったり、福祉事務所職員の必要な人数が足りていなかったり。イメージだけで思考停止になってはいけないと、コラムを読んで改めて思うのでした。
偏りのある情報には気を付けないといけない。特にテレビや新聞は偏りが大きいうえ、受け身であるために誘導されやすい。WEBやSNSは偏っている情報もたくさんあるが、一方的ではないため、反論がしっかりとある。そして情報に対して反対意見の情報などを自分で取りにいくこともできる。そこで自分の頭で考えることが大事なんだと思う。
ここで一つ気を付けたいのはわかりやすい情報。複雑な話を単純化しすぎると大事な部分を見落としてしまう。この本はわかりやすくていいのだが、単純化しすぎて見落としている部分もたくさんあるかもしれない。というか、あるだろう。
憲法改正について
現憲法は、「国民主権を決めた憲法なのに国民が読みにくいものだったら意味ないじゃんと言ってわかりやすい口語体で書かれることになった」と、本書でも紹介されているように、国民の誰にでもでもわかりやすいものでなければならないのだと思います。解釈で変えられるような複雑なものではなく明確にしなくてはいけないのです。では、憲法施行から73年たった今、それは維持されているでしょうか?はっきり言ってわかりにくいものになっているし、解釈によって意見が分かれたりしている。そもそも、現憲法は日本が占領されていた当時にGHQの監視のもとにできた憲法であり、当時の社会情勢を反映されて作られたものでもあります。当時と今では全く違う社会になっています。一言でいえば古すぎる。だからこそ、新しい憲法の案がたくさん出てきて、たくさん議論し、より良いものに改正されていくべきだと思います。
戦争について
今から述べることは、受け入れられない人が多いと思うのですが、自分の意見として言っておきたいので少しだけお付き合いください。
現在の憲法で日本人の命を守れるのか?憲法を守ることで命が奪われては本末転倒では?という意見に対して(自分が言ったんだけど)、命を守るためにとか言って憲法を変えることに誘導されるのが怖い。それで戦争が起きたりするのではないかという意見がありました。戦争は二度としてはならない。誰もがそう考えていると思います。
ではこう考えてみましょう。今の憲法で戦争を防ぐことができるのか?実際、現在の日本国憲法下で戦争が起きていないといえばうそになるし、これからも安泰であるとはとても言えない状況にあります。北朝鮮の拉致、竹島の不法占拠は他の国からの暴力です。尖閣諸島周辺には、今では毎日のように中国の船が近づき、領空侵犯の恐れのある侵入機に対する自衛隊の緊急発進は年に1000回にも。しかも年々増えている。相手が間違ったことをしてきたときには、許さないぞという抑止力を見せることが必要ではないか。アメリカに守られていることもあり、大きな戦争にこそ至っていないが、このままでは逆に大きな戦争になりかねないのではないかと思うわけです。
さらに言えば、拉致や拿捕といった被害にあわれた当事者でなければ、このまま小さな国際紛争で多少犠牲者がいても、大きな戦争にならなければよい、自分に近いところで事が起きなけれがよいと思っている人もいるかもしれない。けれど拉致だって一歩間違えれば自分や自分の家族だったかもしれない。当事者の身になって少しは考えてみてほしい。拉致された人が幸せに暮らしている可能性だってあると考える人もいるかもしれない。けれど、いきなり拉致され、家族や友人や愛する人と引き裂かれて、あの北朝鮮で幸せだと想像できるだろうか。
まとめると、日本は軍事力の脅威に囲まれた国であり、憲法に交戦権を認め、抑止力を見せつける必要があるということ。自分で自分の国を守れる国にならなければいけないということ。このままでいいという考えは、年々増している周囲の国々の軍事力と挑発行為を無視しているし、アメリカだっていつまでも守ってくれるとは限らないのである。
緊急事態条項について
現憲法では、大規模な災害やテロ、今回のような新型ウイルス感染拡大等の緊急事態に政府ができることが明記されていません。特措法で対処していますが、集会の自由を事実上制限できる法律であるため、憲法違反の疑義もあります。憲法に明記されていなくても個別法で対応できるかもしれませんが、憲法違反の可能性を考えると、政府は緊急事態宣言発令や自粛要請や指示に対して慎重になりすぎ、事態が悪化することが懸念されます。実際今回のコロナウイルスでも、特措法成立や、緊急事態宣言発令に時間がかかり、事態を悪化させたといえるのではないでしょうか。
コロナに乗じて憲法改正を進めるなとの意見もありますが、そこで思考停止にならずにもう一度考えてみる必要があるのだと思います。
天皇について
女系天皇とか女性天皇とかよくわからないという人も多いと思うので、詳しく解説してみたいと思います。
まず、これまでに女系天皇は一人もいませんが女性天皇は何人かいました。
それは男系の女性天皇であり、男系とは父親をたどっていくと初代天皇にたどりつく系統のことを言います。女性でも男性でも、これまでの天皇はすべて男系天皇ということになります。
一方、女性でも男性でも母親が天皇で、父親が初代天皇の系統でない人は女系天皇ということですが、今まで一人もいません。
そもそも天皇というのはイギリス王室とはちがって、ローマ法王と同じように(ローマ法王に就任した女性は一人もいない)伝統宗教のトップ(神道の神主のトップ)であり、男系が伝統であって、そういうものなのです。
2000年も受け継がれてきた世界でも珍しい奇跡的な伝統であり、制度とかいうものでもなく、時の国民が一時の感情や考えで変えていいものではないと思われます。
男性皇族が近い将来いなくなるということで、女系天皇も認めようという話がありますが、実は戦後GHQによって皇籍を離脱された男系男子がたくさんいるので、その人たちを皇族に戻すだけで問題は解決されます。一般人になって長いのでふさわしくないという人もいますが、今でも皇室とかかわりを持っており、それほど問題視することではないと思います。
最後に
「安全保障にかかわることほど、あのときああしておけばよかったと思われることはない。」と言われるそうです。自衛隊について、緊急事態について、しっかりと明記することで未来に何か起きたときに助かることがあるかもしれない。あやふやにしておくのはリスクなのではないでしょうか。日本が戦争に突入してしまったのはなぜか?憲法のせいなのか?二度と戦争を起こさないために思考停止になってはならない。
甘いものが食べたい。
コメントを残す