第42回読書会『考える日本史』

2019年3月24日、まだ風が冷たい日の午前、豊橋市カリオンビルのミーティングルームにて読書会を開催。過去最高人数の9人ということで不安もありましたが、みなさんのおかげでなんとか順調に進めることができました。

今回の課題本は、本郷和人著の『考える日本史』ということで、課題本としては初の歴史というジャンルに挑んだ読書会でした。

歴史に関しては、 教科書がつまらなくて嫌いになってしまったとか、 特に好きだという人はいませんでしたが、昭和以降の近現代については興味がある、授業のとき先生の教え方がおもしろくてそのときのことは覚えている、司馬遼太郎とか小説やマンガは好きで読んでいたなど、中には進路のため一度歴史という教科を必死で勉強したことがあるという方もおられました。

この本は、鎌倉から明治という時代を中心に、信、血、根、法、貧、戦、拠、三、知、異の十章に分けられて話が展開される構成になっています。

そこで、一番好きだった章はどの辺かみなさんに聴いてみたところ、血、法、戦、拠といったところが出てきたので、これらの章を中心に話を進めていきました。

まず、話題に上がったのが世襲について。

世襲社会だった日本は新しいものが生まれにくい社会だった半面、争いの起きにくい社会でもありました。

はたして世襲はいいのか悪いのか?

世襲と言っても当時はDNAという概念がなく、血よりも家が大事とされ、養子とかでもよかったが、天皇だけは血のつながりが重要視されたのはなぜか?

日本のマンガやドラマでは主人公の血のつながった親が実はすごい人だったという話がよくあるが、外国から見たらどうなのか?

今も中小企業などで世襲が多くあるようで、特に問題はないような気もするが、代が変わった大企業の失敗例が時々見受けられる。

「中国には科挙という試験制度があり、合格した者だけが官僚になれたが、日本では科挙が取り入れられず、世襲によって貴族が政治を行っていた。」と批判的に書いてあるが、その背景については特に書かれてなく、もしかしたら日本は科挙を必要としない社会だったのかもしれない。その辺まで掘り下げてほしかった。

などなど、世襲の話だけでも、かなり盛り上がってしまったのでした。

ここで読書会では言わなかったことを一つ追加させてもらいます。

『考える日本史』では、穏やかで変化を好まない風土が続いた理由として、島国であったこと、温暖な気候であったこと、多神教であったことが挙げられていました。

もう一つ重要なことがあると思います。それは、災害が多い国だったこと。日本では古来より、地震、津波、台風といった災害が多く、大勢の犠牲者を生んできました。

そのたびに多くの人が悲しい思いをしてきたはずです。だからこそ命を大切にする文化だった。穏やかであってほしかった。日本とはそういう国だったのではないでしょうか?

その他、努力目標だった律令、幕府と朝廷、戦争の分析をしない日本、城壁がなかった日本、城の役割、著者の表現について、などなど多くの話題について語り合うことができ、とても楽しい時間でした。

全体的な話として、この本を読んで著者の話をなるほどと納得することはできるけれど、一般の我々はどうやって歴史を考えればいいのだろうという話がありました。

本当は歴史の資料をいくつか読んでみて考えることが望ましいけれど、なかなかそんな暇もないわけで、そんななかで、こうしてみんなで集まって知っていることや意見を出し合うことも考えることになるのではないかと思います。

それと、二次資料になってしまうかもしれませんが、今回の課題本のように歴史をわかりやすくまとめていただいた本を、一人の著者に絞らずに何冊か読むことで、偏った解釈に流されず、一次資料に近い知識を得て、考えることができるかもしれません。

神話とつながっている私たちの日本史を今一度私たちが考えてみること。それってもしかしたら、これからの日本にとってとても重要なことなのかもしれません。

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