第50回 読書会『ファクトフルネス』

令和元年11月24日、だいぶ寒くなってきたと思いきや暖かさが戻った日の午後、サーラプラザにて読書会を開催。5周年50回の記念すべき読書会の課題本はハンス・ロスリングの『ファクトフルネス』でした。

「多くの人が世界について間違った認識を持っている。」「ネガティブ本能、犯人捜し本能、焦り本能など、10の本能が原因である。」「こういった思い込みを乗り越え、世界を正しく見ることはとても大事なことである。」事実に基づき世界を正しく見るための習慣をこの本から学ぶことができます。

今回読書会に集まっていただいた10人の感想や意見には次のようなものがありました。

  • 著者自身のエピソードも面白い。著者の個人的事実に基づいている。
  • 自分の思い込みが激しかったことに気づいた。
  • 読みやすい、ビジネス本なのに感動があった。自分の使命を形にできる方。
  • 昔から地球環境について心配する子供だった。読んでから批判的にならなくてよいと思えた。
  • 国別など大枠ではなく一人ひとりまでデータを掘り下げることが大事。
  • 特保のお茶の効果は本当か?といった身近なものに落とし込んで考えると面白い。
  • 犯人捜し本能について、日本のメディアは感情に重きを置きすぎ。その事件の責任は関わる人全員にあるのかもしれない。
  • ネットで調べると間違った情報がたくさんあり、一次情報を自分で調査することが大事。
  • 一次情報が大事なんだけれどそれを取りに行くのは難しい。
  • 受け身の情報ばかりで自分から情報を取りに行くということがないので、いけないなと思った。
  • 地震の備えなど恐怖本能は必要だと思った。
  • 小さな範囲で考えたときにファクトフルネスは不要なのでは。今必要だと思って飛びついたことが必ずしも悪くはない。
  • 脚注を全部読んで大変だった。詳しい内容がオンラインで公開されていてよかった。

それぞれの感想や意見に対して話が膨らみ、今回も時間いっぱいまで話の尽きない会となりました。あと3時間はいけたね、うん。

ここからは読書会で言ったこと、言い足りなかったことなど、私の感想を述べたいと思います。

この本はハンス氏が文字通り命を懸けてこの世に残した本だということ。世界を少しでも良くしようと、「事実に基づく世界の見方」を多くの人々に伝えたかったということ。深く感動したし、これからは特に「事実に基づく世界の見方」は重要視され、世界中の人たちが身に着けるべきことだと思いました。
なぜなら、余計な不安がなくなることで心は落ち着くし、誤った行動がなくなることで自身や周りの人を守れるから。それと、身近なところでも世界中でも問題はたくさんあってそれらを解決するためにも必要であるということ。世の中をよりよくするため、豊かになるため、何かを成し遂げようとするときにも必要であるということ。本著のエピソードや読書会でのみんなの話からもそれは確かなことだといえるのではないでしょうか。

読みながら本能についても考えました。
しかしなぜ本能が邪魔をして正しい認識を妨げるといったことが起きているのか?
昔は本能のまま生きていてちょうどよかった。
生も死も自然と調和していた。
人類の文明は急速に進み、陣地を広げ、余剰が生まれ、寿命が延びて、便利なものをたくさん作り、生み出し、進化してきた。けれど、本能はその変化に追いついてなく、本能のまま生きると害が生まれる状況で、本能を抑える必要が出てきたのではないかと考える。

言い足りなかったこともう一つ。誰もが過ちを認められる空気について。
訳者のあとがきの最後のほうにとてもいいことが書いてありました。要約すると、

『「情報を批判的にみることも大事だけれど、自分自身を批判的にみることも大事。」間違った情報を鵜呑みにするのは愚かなこと、だけど、事実に基づいた正しい情報を否定するのもいけない。そのためには自分自身を批判的にみる力が欠かせない。そのセルフチェックに役立つのが本書で紹介された10の本能。とはいえ、「自分自身を批判的にみるべきだ」という主張を押し付けすぎるのはいけない。本能に支配されて事実を無視してしまう人をおとしめても、世界はよくならないから。必要なのは、誰もが「自分は本能に支配されていた」と過ちを認められる空気をつくること。そういう空気をつくるためには、その人をたたくよりも許すほうが大事。』

何が事実に基づいた情報なのか判断するのは難しいけれど、ここに書かれているように、セルフチェックをすることで、限りなく事実に近づけるのではないでしょうか。
過ちを認められる空気がある場ってなかなかないような気がするけれど、人には押し付けず、自分自身を批判的にみることは実践していきたいと思います。

最後に、読書会の最後でも言いました。

自分に賛成してくれる人とばかり話したり、自分の考えを裏付ける例を集めたりするより、意見が合わない人や反対してくれる人に会い、自分と違う考えを取り入れよう。それが世界を理解する素晴らしいヒントになる。』

FACT FULNESS 241ページ

これは当読書会にも当てはまることだと思います。
世界を理解する素晴らしいヒントに出会える場でありたいと思います。

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