読書会はいい『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
桜満開の中、風が強くて肌寒い日の午前、今話題のノンフィクション、ブレイディみかこ著の『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を課題本に6人での読書会を開催しました。
(感染予防のため、全員マスク着用と、ドアを開けての換気、読書会後のランチを自粛としました。)
わかりやすくて、巧みで、ユーモアがあり、読んでいて非常におもしろいと感じる文章で、自身の息子を通した英国での様々な問題を提起しつつ、読者に考えさせる話題盛りだくさんの課題本でした。
読書会でも様々な話題があがり、拙い司会でしたが、互いに会話が飛び交っていたので、結果オーライで楽しい読書会になったかと思います。
まずはいつも通り大まかな感想を聴いてみると、
- 読みやすい。著者本人の成長の記録。
- 無知と頭が悪いことは違う。言葉で受け取るイメージが違うので気を付けたい。
- 性教育に対しての感覚が海外と日本で違う。
- 人気の理由も実感、考えさせられるいい本。
- 暗い本かと思って読んでみたらよかった。
- 英国の音楽が好きで、好きなバンドが出てきてテンションが上がった。
- 小説のような伏線もありおもしろい。
- 多様性はいいイメージだけどやっぱり問題があると感じた。
- 性教育や、演劇で気持ちを伝える教育など、生きるための教育が進んでいる。
- 決めつけるほうが楽だけどエンパシーは大事。
- 教育環境がうらやましい。日本は正しいことを教える管理教育。変わってほしい。
- 自分は多様性の乏しい環境で大人になった。
- 読書会も対話で多様性を学ぶことができる。
- 仕事が変わった関係でマイノリティな気分にあったのでリンクして読めた。
- 英国はブレグジットもあって難しい環境にある。
などなど、書ききれないほどたくさんの感想をいただきました。
中でも一番大きな話題となったのは、教育についてだったように思います。
英国と日本での教育の違い、同じ英国でも学校によっての教育の違いがあり、著者の息子が通う元底辺中学校の教育を通して、日本の教育の問題点を様々な角度から意見交換できたと思います。
一つ例を挙げると、教育に演劇を取り入れているという話から派生した、喜怒哀楽の表現の難しさです。
喜怒哀楽を表現することはコミュニケーションの上で大切なことだけれど、実際は自身が思っている感情表現が相手には伝わっていないことがよくあるということ。
たしかに自身も含め周りを見渡せば、感情表現が正しく伝わらないがためのコミュニケーション障害が起きているような気もします。
マイノリティについても話題になりました。
自分がマイノリティだと思ったことありますか?という参加者からの問いがあり、それぞれに自分だけ周りと違うと感じた行動や思考、天然現象など経験談を語り合って盛り上がりました。
普段周りには受け入れてもらえない独特な発言や体験も読書会では発することができて、そんなところも読書会の魅力なんだと改めて思ったのでした。
いじめについても話題になりました。
一部の人を仲間はずれにするような状況はどうやって起こるのか?村八分とかって誰が得をするのか?といった疑問が出て、誰かを攻撃することによって自身の存在を示そうとする人がいる。誰かを罰することで脳は快感を得るようにできている。敵を一人つくることで団結力を維持しようとする思考が働くのではないか。といったような意見が挙がりました。
読書会では言っていなかったことを少し。
差別的な発言がひどい息子の友人の話のところで、著者が、「無知なんだよ。」と息子に話すシーンがあり、「つまりバカなの?」と返す息子に対して、「頭が悪いことと無知は違う。知らないことは、知るときが来ればその人は無知ではなくなる。」と、いったような会話があります。
ここで思ったのは、無知はやはり悲惨な状況を生んでしまうということ。けれど、その人が知ることによって悲惨な状況を一つ回避できるということ。
悲惨な状況を生まないために知らなければいけないことがあるのだと思います。
そのためには偏りのない読書、そして多種多様な人との対話が必要であり、ここでも読書会は有効であると思ったり。
この他にもたくさんの話題がありました。
今回は、読んだけれど直前になって参加できなかったという方たちもいました。
また、いろいろと話しましょう。
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