現代人に絶対必要だけど多くの人に足りていない大切なもの『おとなの教養』

現代人に絶対必要だけど多くの人に足りていない大切なもの。それは教養です。
そういう自分も、30代後半になってようやく教養というものが少しは身についてきたかなーぐらいのレベルで、20代の頃なんかは教養のかけらもない人間でした。
教養がないとどうなるのか。
教養がないと、世の中を偏見の目で見てしまったり、独自の考え方に固執してしまったり、組織や団体の独特な色に簡単に染まってしまったり、といったことが起こりえるのではないでしょうか。
教養が欠けている人生はとても危険だと言えます。
教養は専門的な知識などと比べると、すぐには役に立たないし、何かを学ぶ上では優先順位の低いものだと思えるけれど、実は、己の基礎となるものとして何よりも先に、身につけておくべきものなのかもしれません。
教養とは一体何を学べばいいのか?
『おとなの教養(池上彰 著)』には次のように載っています。
「自分自身を知る」ことこそが現代の教養だろうと私は思います。自分はどこから来て、どこに行こうとしているのか。この場合の「自分」とは、文字通りの自分のことでもあるし、日本人あるいは人類のことでもあります。
そして、自分自身を知るための現代における教養として次の7科目について書かれています。
1.宗教
この世のしくみについて超自然的なものに答えを求めて始まったのが宗教。
世界各地の気候風土などに影響され、様々な宗教が生まれた。
宗教は生まれた地から、他の地へ伝えられていく過程でも、文化の影響を受けながら変化していった。
日本の仏教も日本独自の変化を遂げたものであり、日本の中でも数種類の仏教が存在する。
宗教紛争の本質は土地や資源をめぐるものである。
どんなに科学が発展しても、神様に祈ったり、お参りに行ったり、神秘的なことを信じたりすることがあったりします。
自分の信じている宗教を見つめ直すのもいいですし、いろいろな宗教について、もっと深く勉強してみるのもいいかもしれません。
古代の人々がどのようなことを考えて生きていたのか、それを知ることは人類を知り、日本人を知り、自分を知ることにつながるのかもしれません。
2.宇宙
「神の作った世界の法則を解き明かしたい」という考えから、実は科学というものが生まれた。
観察や実験から仮説を導き、その仮説を裏付ける発見から新しい認識を得られるようになった。
例えば、飛び回っている粒子に重さを持たせるような粒子があるはずだという仮説から、ヒッグス粒子の存在を予測し、2012年に発見されました。
ヒッグス粒子の発見によって宇宙誕生の理論が説明できるようになったのです。
宇宙の誕生について新しい認識が得られ、それを説明できるとういうことは、宇宙スケールで私たちの始まりを説明できるということです。
3.人類の旅路
生命は突然変異によって進化してきた。
それは、より優れたものに進化してきたという意味ではなく、その時々の環境にたまたま適合した種が生き残ってきたということ。
人類の起源がアフリカとされているのは、無作為に選んだ147人のミトコンドリアのDNAが、20万年前のアフリカにいた一人の女性に由来していることがわかったから。
20万年前にアフリカで誕生した人類の起源であるホモ・サピエンスの一部は、10万年前にユーラシア大陸へ移動していき、徐々に世界中に広まっていく。
私たちの遺伝子の中にネアンデルタール人の遺伝子が入っていて、アフリカにいる人たちにはネアンデルタール人の遺伝子が入っていないことから、ホモ・サピエンスは中近東の辺でネアンデルタール人と生活していて交わった時期があったとされている。
人類の始まりを知ることで、私たちの先祖がどこから来たのかを説明できるのです。
4.人間と病気
ウイルスによって大勢の人が亡くなり、人類の歴史を大きく変えてきた。(スペイン風邪など)
ウイルスは遺伝子がタンパク質で包まれているだけで細胞膜がなく、生き物と物質の中間にあるような不思議な存在。
ウイルスも突然変異を繰り返してきた。
新型ウイルスがどのようにして生まれ、どのようにして感染し、人類の歴史にどんな影響を与えてきたのかを知っておくことは、人類を知るうえで必要なことなのかもしれません。
5.経済学
人類の営みにも何らかの法則があるはずで、それはどのような法則なのかという問いから経済学が生まれた。
時代によって新しい経済学がつくられてきた。
これまでの経済を知ること、これからの経済を考えること。それは人類の営みを知ることであり、自分自身を知ることにつながるのだと思います。
6.歴史
誰かが書き残したものがあってそれが歴史となる。
さまざまな時代で記録を残すのは、その時代の勝者や権力者であり、歴史は時代の勝ち組によってつくられてきたという側面がある。
私たちが学んだ歴史はほんの一部でしかなく、今後の研究から書き直される可能性もある。そして、知られざるたくさんの歴史が存在する。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉もあります。自らの経験のみに頼るのは愚かなことである、他人の経験を記した歴史に学ぶべきだ、ということですね。歴史を批判的に眺めながらも、学ぶべき知見は現代に生かす。難しいことですが、その積み重ねによってこそ、私たちは過去の愚行を繰り返すことから逃れられるのです。
7.日本と日本人
過去にさかのぼると、いろいろな民族や人種が混ざり合って今の日本人が生まれていることがわかる。
日本人という概念が政治的につくられたことで、「日本人」というものが制度上存在するようになった。
意志疎通できる共通の言葉を獲得することで、少しずつ日本人という共通の国民意識がつくられていった。
海外で日本が高く評価されているのは、日本人の先輩たちの苦労があってのこと。
他国があってこそ日本ということを自覚できる、人間も同じで他者とのかかわりの中で自分というものが見えてくることがある。
他国と日本の違いを知ることで、日本人としての誇りも生まれ、他者と自分の違いを知るところから自信も生まれるのだと思います。
まとめ
教養とは「自分」を知ることであって、この場合の「自分」とはいろんな意味での「自分」なんだと思いました。
引用で紹介したとおり、日本人あるいは人類のことでもあり、もっと言えば生命のことでもあるのではないでしょうか。
さらに、今現在のことだけではなく、自分あるいは人類が生まれてから今までのこと、もっと言えば宇宙が誕生してから現在までのこと。
そして、未来を思い描き考えること。これらすべてが自分を知ることであり、教養なんだと思います。
膨大な過去の蓄積を受け取り、それを現代に生かし、思い描いた未来を作っていく。
そのためにも教養としていろんなことを知っておきたいと思います。
コメントを残す