こわい話の読書会『予言の島』

令和3年7月にオンラインで開催された読み人倶楽部の読書会は、夏だし怖い話いってみよう!ということでカドフェスの対象ともなっている『予言の島』を課題本に取り上げてみました。

読後しばらくオリンピックに夢中になっていた主催者は覚えていないところがたくさんありましたが、みなさんの感想がたくさん聞けて盛り上がることができて良かったです(^^;)

それぞれのおおまかな感想はこちら。(※ここからはネタバレになるので注意)

  • 関西弁がけっこう出てくるけどテンポが良くて読みやすく、読み味のある作家。
  • くにおくんとか、しょうゆ顔とか、年代でわかるものがたくさん出てきた。
  • オウム真理教の事件やイタコの話とか訳立つ知識があった。
  • オウムが社会にもたらした影響はものおすごかったと改めて思った。
  • 日本の古い習慣が災いをもたらすこわさ。
  • ホラー一辺倒ではなく、科学的でもありよかった。
  • 関西弁は男女の違和感がなくこの本を自然に思わせる大事な部分。
  • オウム、震災など、90年代的な要素がちりばめられている。
  • 90年代に少年期だった人たちが今社会の中核にいる。
  • 90年代当時のネタは小出しで統一的ではなかった。
  • 最近テレビで冝保愛子スペシャルをやっていておもしろかった。
  • 島・死・大団円・ミステリー
  • ネタバレ後ホラーと思えなかった。
  • ミステリー?ホラー?両方に傾きながら読んだ。
  • 「解説」に出てくる有須間祥はフィクションの可能性。
  • 3日前に読み始め、すごくおもしろく読了できた。
  • ミステリー、伏線、推理は考えずストーリーを味わいたいと思った。
  • 超常現象を科学的見地から読み解いていくとおもしろい。
  • 最後のどんでん返しはそこまで必要ないと思った。
  • おかんの話は蛇足のように思えた。
  • 心の闇、どうしてそんな心理になったのかとか考えてしまう。
  • 島の老人たちがタブレットでやり取りしているのは今っぽいと感じた。
  • 呪いに見えて人間の問題。
  • 最後の仕掛けがすごかった。
  • 所々誰が誰に言っているのかわからなくて、三人称一人称がぶれて読みにくく最後にそのわけに気づいた。
  • 物語がおもしろく好き。瀬戸内海旅行に行ってみたい。
  • ホラーよりもミステリーと感じた。
  • エンタメだけどたくらみに富んでいるなかなかすごい著者。
  • たくさんのテーマを詰め込みすぎている。一つを掘り下げたほうがよかった。
  • テーマがたくさんあって深堀できていないが、断腸の思いで削ったのではないか。

などなど、この他にも文庫版の表紙の絵の秘密や解説の話、昔のゲームの話、不思議な体験談など、いろいろ盛り上がることができました。

最後に、読書会の感想をみなさんに聞いたときに、参加者の一人から「日常会話の呪い」について話していただき、やっぱりこの本のメインテーマはそこだったんだと改めて思いました。

「日常会話の呪い」についてみなさんの意見をもっと聞いとけばよかったなーとちょっと後悔してます(^^;)

自分のメモ書きが読めないところがあったり、メモしてなくて忘れてしまったところとかあったりで、みなさんの感想は以上になります。足りないと感じたならごめんなさい💦フォローをお願いします!

ここからは、読書会でも少し話した個人的な言いたいことを言いたいと思います。

まず、やっぱり大きなテーマとしては2つあって、一つはミステリーの真相として描かれている有害産業廃棄物の不法投棄。もう一つはリアルなホラーとして描かれている、人が人に与える呪いではないかと思います。

産業廃棄物については「豊島(てしま)事件」が元ネタであると思われます。
作中にも春夫が語るシーンでこの話が出てきます。(108頁)
文字通り自然豊かだった瀬戸内海の豊島(てしま)が、有害産業廃棄物によってめちゃくちゃにされ、原状回復は困難を極め、今も続いている最悪の事件です。
豊島事件の経緯経緯

この事件では島の住民たちが抵抗し闘い続けてきましたが、もし受け入れてしまっていたらというif設定であったのかもしれません。

そして、呪い。2読目はホラーと帯にあって、読書会後に2読目となってしまいましたが、じっくり読みなおすと、その恐ろしさが伝わってきました。

「呪われてない人なんかいない」沙千花の言葉が示すように誰しもが誰かの言葉にとらわれているのかもしれない。

そう、よく考えたら自分も呪われていることに気づきました。あーなんてことだ…。そう!あなたもきっと呪われている…! 「涼」を届けたい…!w

いや、でも知らず知らずにその人に依存してしまっているとか、影響を受けてしまっているとか、十分にあり得る話なので気を付けたいですね。気づかないことが恐ろしい。

最後のおかんの話は必要なかったのではという話があったように、ホラーの部分を排除しても十分楽しめる小説だったように思えます。すごい仕掛けなんだけれど、なんか残念というか、気持ちはわかります。ただそこはこの本がホラーミステリーというわけで、ホラーの部分に期待している人にとってはあってよかったし、なくては困る部分だったんでしょう。

それと、文庫版の表紙の絵と解説は、文庫版で追加されたものなので、エンタメ的おもしろさを追加するためのおまけみたいなものでしょうか。

解説はフィクションという話が出ました。そして今これを書いているときに謎が解け、解説がフィクションであることが確信に変わりました!

謎解きは以下のようになります!

解説者の名前は有須間 玲(ありすま れい)です。

「ありすま」をアルファベットに、「れい」を「0」に置き換えます。

ARISUMA 0

これを並べ替え

SA0MURAI

さらに「0」を輪と読み、「WA」に置き換え、「I」を「1」に置き換えます。すると…

SAWAMURA 1

となり、さわむらいちと読めます。

そう、著者の名前、澤村伊智になるというわけです!

どうでしょうか!なんか一人で謎が解けたと思って興奮してたんですが、実はもうみんな閃いてたり、そもそも関心なかったりしたら申し訳ないです(^^;)

後半にかけて、そしてクライマックスで最高潮となるハラハラドキドキの展開は最高でしたね。

映画化してほしいとは思うけれど非常に難しいだろうなーと思います(^^;)

最後にがっかりしてしまった人のためにハッピーエンドバージョンがあってもいいのでは?

っていうかハッピーエンドの方がいいじゃん!と思って勝手にストーリーを考えてみました。

予言の言葉の成就におびえながら紗千花と教室を出てトイレに向かうとき、淳はこれまで紗千花と交わした言葉を思い返していた。そしてついに気づいてしまう。

呪われているのは自分だということ、ずっと前から呪われていたということ、そしてふと、おかんに視線を移す…。

以上になります。m(__)m

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください